パン、ビスケット、ケーキに対する一般的な考察
パンとパンの製造。
1668.
人間に食物として用いられている多数の植物製品の中で、穀物は一番重要な位置を占めている。 発達した耕作によって、人類がそれらが多分かつてそうであったような貧弱で、味の悪い元の栽培から、豊穣と増産をもたらす種々の実り多く、適した種に変えてきた。 それぞれの栄養という点での豊かさに従って分類すると、穀物は上述の通りであることがいえる。―――小麦とその系統、ライ麦、大麦、オート麦、米、トウモロコシなど。 誰もが、最良のパンになるのは小麦粉であることを知っているだろう。 ライ麦のパンは粘着性で、硬く、より容易に胃液によって溶解され、栄養に富んでいない。 大麦、トウモロコシ、あるいは米から作られた粉はそれほど容易にパンに加工することはできなく、そしてそれらがパンになった場合は重く、消化しにくい。
パンを作る
1675.
小麦粉を用いたパンを製造する過程は、次のようである。
50から60%の水をいくつかの発酵素と、なるべくはモルトとホップからのイーストとともに小麦粉に加える。
しかしながら発酵素は、世界中のあらゆる地域で異なったものが使われている。東インドでは、ココナツの木を傷つけて得られる液体である「トディー」がそれであるし、西インドでは「 ダンダー」、もしくはラム酒の蒸留で得られる不要物がそれである。
それから生地は、よく知られた「こねる」作業を必要とする。
イーストは以下に述べるような発酵の過程を経る。生み出された発酵素と生地が反応し、小麦粉のでんぷんは砂糖のような物質に変化し、その後それはアルコールと炭酸に変わる。
生地はよく「纏められて」いなければならないが、発酵と同時に得られ、イースト入りのパンに見られる多数の小孔をもたらす炭酸は逃がしておく余地が必要である。
1676.
パンが消化によくて美味であれば、イーストは上質で新鮮あるはずだ。
もし新鮮でないイーストが用いられた場合は、 ワイン発酵の代わりに酢酸を含む発酵を引き起こし、それはパンの味をひどいものにする。
粗悪な質のイーストは不完全な発酵を引き起こし、パンはひどく健康に悪いものになってしまう。
1677.
生地がよくこねられたら、しばらくおいてそれが膨張し始めるとすぐに、いくつかのかたまりに分割する。その後またしばらくおいておかれ、もうすこし膨らんだ暁に、最後に確かに発酵していることを確認する。 それからオーブンに入れる。そこで生地に含まれる水は部分的に蒸発し、黄色いパンのクラスト(パンの外側の堅い部分)が表面の上にでき始める一方で、パンは再び膨らむ。
パンが十分に焼かれると、底のクラストは堅くなり、指ではじいてみれば音がする。他方小塊は弾力性があって、指で押されると再び元に戻る。
パンが十分に焼かれた後、十分ありうることとして、オーブンのドアをすぐ開けると、人が死ぬかもしれないほど危険な蒸気が噴出することがあるので気をつけること。
1678.
新しいパンと熱いロールパンの不健康さについて一言。
パンがオーブンから取り出されるとき、それは水分を多量に含んでいる。でんぷんもかたまりの中に一緒に含んでいて、唾液に触れられる代わりに、パンは咀嚼によって堅い外皮を作って消化を妨げる。
パンはつねに食されるまでにできてから少なくとも一日以上空けられるべきだ。そしてもし適切に作られて、冷涼で乾燥した場所に保管されているなら、3あるいは4日後に完全に柔らかく口に合うようになるはずである。
融けたバターがあふれるほどの熱いロールと新しいパンは、大きな負担をかけられる胃のためにも注意深く避けられるべきだ。